なぜ、私が父親メンター化計画を考えたか?
キャリア教育塾OGI塾代表の荻原嘉一郎です。
なぜ、私が「父親メンター化計画」を考えたかについて、今日はお話したいと思います。
父親メンター化計画とは、
「父親を思春期の自分の子供のメンターにすることで、子供の変化・成長を促す。」
です。
子供に以下のようになってもらうための、「父親メンター」です。
→ 将来の夢、志を意識しながら納得のいく進路選択ができる
→ 将来を必要以上に恐れず、自分軸を持って「今」の一瞬一瞬をしっかりと生きることができる
では、なぜ「父親」なのか?
母親ではないのか?先生ではないのか?
それは、私が以下のことを感じたことが大きい。
子供にとって、最も身近な社会人(働き手)は、父親のはず。ところが、その父親の仕事を知らない子供が多くなっている気がしている。実際に高校生に聞いてみると、確かに職業名や会社名などは知っているが、具体的な内容については、知らないことが多い。
(まあ、自分自身も、高校生の時父親の仕事内容知っていたかというと知らなかったが。。今でもあまり状況は変わっていないようだ)
そして、高校生のなりたい職業の上位が公務員。民間企業の会社員はランキングに入っていない。
そして、問題はそれよりも、希望する職業がない という子供が8割以上を占めるという現実だ。(ベネッセの調査資料より)
注目されるのは、先生を含む公務員、テレビドラマなどで取り入れられる職業(士業、パイロット、医者など)ぐらい。
多くの家庭でのお父さんの職業は、現状では、民間企業の会社員が多いのではないだろうか。
ところが、子供にとって会社員についての情報はほぼないに等しい。
厳密には、会社員は「職業」ではない。
多種多様な業種・職種があり、一言で言い表せないほどの種類がある。同じ営業という職種でも法人向け、個人向け、新規顧客探索型、既存顧客を回るルートセールス型など多くの種類がある。
会社員についての情報は、断片的。マスコミ、ネットでは、「働くこと」「一部の会社」について、マイナスの情報が出ることの方が多い。
こんな状況だからこそ、実際に働いているもの、特に会社員の「生の声」を子供たちは聞くべきなのだ。
その人の考える働くことの「目的」「想い」「喜び」「苦労」「経験」などなどを知るべきなのだ。
そして、私は、一番身近な働き手である「父親」の声を子供は聞いた方がいいと思うのだ。。
ところが、子供が思春期に近づくと、父親と子供の間には、微妙な溝ができることが少なくない。
- 子供の教育にタッチできない状況(教育は母親(妻)が行う)
- お父さんは外で働いてお金を収めればいいという妻の考え。
- 働き盛りの時期なので、子供と共に過ごす時間が少なく、子供とのコミュニケーションがうまく取れない。距離を感じる状況。
- 小さい時は、いうこと聞いてくれたのに、大きくなるにつれて聞いてくれない。生意気になる。という印象。
こんな状況の上に、家でリラックスしている父親しか知らない子供は、どう父親に対応するだろうか?
父親からいきなり、仕事の話を聞いてもまともに聞かないだろう。
このような状況は、子供自身にとって非常にマイナスである。もちろん、父親、母親にもマイナスだし、社会全体にとっても計り知れないマイナスをもたらしている。
自分の最も身近な後継者である子供に自分の生き様(働きざま)が伝わらないのは、非常に勿体無い。
もちろん、同じ職業につく後継者という意味ではない。(そうであってももちろんいいが。。。)
医者や政治家、経営者などに2世、3世が多いのは、近くで父親の生き様をリアルに見ているということも理由としてあるのではないだろうか?
でも、お父さんが思春期の子供に何か伝えたいと思っても、うまく伝えられないことが多い。
なぜか?
伝える以前に、信頼関係が構築できていなかったり、相手の話を聞いたり、伝え方を知らないからではないだろうか。
よくあるのは、説教型。
自分の言いたいことを言いたい放題にいう。第三者から見たら正しい意見も多いのかもしれない。話した本人は気持ちいいかもしれないが、子供には全く伝わってないし、逆に嫌悪感を抱かれて終わりのことが多いのではないだろうか。
私がこの問題に気づいたのは、
自分自身が思春期(高校生の)子供との関係で悩んだことから始まる。
そして、なんとかしようとコミュニケーションのプロを養成するアドラー心理学を基本としたコーチングスクールに学んだ。
大学生と社会人が一緒に集まって働くことについて対話をする活動(ハタモク)にも参加した。中学生や高校生のキャリア教育の現場にも行った。自分で自分で考えたキャリア教育を行う塾を立ち上げ、高校生のメンターを行なった。
これらの中で、実際に思春期の子供、その親と付き合って、思ったのが、子供の成長のために一番大事なのは、家庭であるということ。
そして、もちろん、母親は大事なことは言うまでもない。母親と子供の関係、一般的に父親と子供以上に、密接な関係になっている。
私自身が父親として、感じたのが、(繰り返しになるが、)思春期の子供の父親の役割は、非常に微妙であるということ。
子供と仲良い悪いとは別にしても、人間としての父親の半分は子供には見えていないだろう。会社での仕事人としての父親の姿である。家で見ている姿は、実は“休み”の姿なのだ。
父親は、かわいそうである。
会社では、仕事に対していろんな想いを持って、一生懸命行い、よろこびも感じ、苦労もしながらも、なんとか成果を上げ、給料をもらって家に納める。
会社員の父親にとって家は“休む”ところである。しかし、その姿しか見てない子供にとっては、家でゴロゴロしてテレビ見たり、朝から釣りに行ったり、ゴルフに行ったりするのが父親の姿。時に、説教されてうるさいだけ。
これでは、子供にとって本当に良くない。
そんな中、母親に対しては、“子育て”に対する支援サービスは数多くある。
ところが、父親については全くない。
特に思春期の子育てについて教えてくれるところなど、皆無である。
だから、私がやろうと思ったのだ。